遊技機設計と3DCAD

昨今のパチンコ・パチスロはそのゲーム性もさることながら筐体のデザイン、役モノの形状、ギミックがより豪華でリッチな仕様になっていることは皆さんもご承知のところと思います。以前の記事(遊技機の役モノ(ギミック)について)で触れていますが最近の筐体設計・機構設計・役モノ設計には3DCADが多く使われています。
もちろん遊技機業界だけでなく3DCADは様々な設計現場で使われているわけですがそもそもこの3DCADとはどんなものなのでしょうか。

CADとは

CADとは「Computer Aided Design」の略です。直訳するとコンピューターがデザインを支援してくれるということになります。もちろん支援してくれるだけですので設計は人間がしなければなりません。とはいっても設計ができるようになるまでには経験と知識が必要です。しかし、設計ができるようになるまでの最初のステップとしてCADを覚えることは非常に重要です。なぜなら効率良く設計を行うためには、CADが欠かせないからです。
最初はどの企業でもCADを使った図面の作成や3Dモデルの作成を先輩設計者からの指示で、設計を学んでいくことになります。そのためにもまずはCADを知っておかなければなりません。

2DCADと3DCAD

PCの普及前は図面といえばドラフター(製図台)を使って2Dで描くものでした。
立体物でも三角法と呼ばれる手法で平面に描きます。
2DCADはこの作業をPCが代わりにやってくれるものです。2DCADで作られた図面は、投影図から立体を想像する必要があり読図能力を必要とします。
これに対して3DCADは実体そのもの制作しますので誰が見ても解りやすい形で見せることが出来ます。3DCADデータがあれば、専門知識がない方でも容易に形状を把握することができ、コミュニケーションが図りやすくなります。良い製品を開発するためには、コミュニケーションの質を向上させることが非常に重要です。

3DCADのメリット

3DCADなら体積・表面積・質量・重心等の幾何情報を容易に得ることが出来ます。
例えば体積の情報は材料のコスト計算に必要となります。設計は決められたコストの中で行わなければなりません。コストに合わせての形状変更等は頻繁に行われますので瞬時に計算してくれる3DCADは非常に効率よく設計することが出来るのです。
さらに実体を制作する3DCADなら部品同士の干渉等が試作品を作る前に確認できるため設計効率を上げることが出来ます。また設計デザインの自由度も飛躍的に向上しています。

3DCADの種類

代表的なものとしてCATIA、Creo Paramatoric、NXです。
日本の大手製造業の多くはこれらのCADを使用しています。遊技機業界ではSolidWorksを使われている企業も多いと聞きます。上記CADはライセンス料も高額で個人で使用するには大変です。まずはフリーで使えるCADで勉強する事をお勧めします。

フリーで使えるCAD

最近では3Dプリンターも安価になり手軽にモデリング出来るようになりました。
数あるフリーCADの中でもお勧めは以前の記事でも紹介したFusion360です。
Fusion360とは、Autodesk社が提供しているクラウドベースの高機能3DCADソフトのひとつです。クラウド機能を備えており作成したデータはクラウド上で管理されるのでみんなで一つのものを作り上げることも容易にできます。
他にも様々なCADがありますがどのCADを覚えるのかはさほど重要ではありません。覚えなければならないCADは実際に業務で使われているCADであるからです。学ぶべきはCADの操作方法ではなくCADで設計するための共通の基本的な考え方です。
基本的な考え方を身につけると、使用するCADが自身で学んだCADでなくても全く問題ありません。また、基本的な考え方を理解した上でCADを使うことは、機械的に操作を覚えるよりも遥かに上達が早くなります。
 

年間数十機種が市場にリリースされる中、設計効率の向上は不可避な問題です。
遊技機の筐体デザイン、役モノは常に進化し続けています。より豪華でリッチな筐体やギミックをより多く創出するには3DCADはかかせない存在です。
パチンコ・パチスロユーザーを驚かせるような筐体、ギミックを設計できるのは3DCADを自在に操るあなたかもしれません。

G&E名古屋校ではハード(筐体・役モノ)の設計者を育成するため3DCADが学べるコースをご用意しております。
<G&E名古屋校>
PS総合開発コース(2年制)https://www.g-e.jp/course/list/list01.html
PSプランニングコース(1年制)https://www.g-e.jp/course/list/list02.html