パチンコの企画・開発にあたり、出玉性能に関する「MNRS」について、書かさせていただきます。
まず、「MNRS(エム・エヌ・アール・エス)」と呼ばれるものの正体ですが、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(略して、規則)」内の、「別表第四 ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格」に記載される性能面に関しての規制のことです。

今回は、「MNRS」の基本知識を簡単な事例を使って、なるべく分かり易くお伝えしたいと思います。

MNRSの正体

「MNRS」は出玉性能に関連する数式の略称で、正式には下記の数式を満たす必要があります。もちろん、パチンコホールに設置されている機種は、この条件をクリアしていることになります。

M×N×R×S≦12

この数式を見てお分かりの通り、「M・N・R・Sの積が12以下になるようにしなさい。」ということが、パチンコの出玉性能の絶対的な条件になっています。
それでは、ここで使われている「M」・「N」・「R」・「S」は、どのような数値を意味するのでしょうか。

M:作動確率
N:役物連続作動装置の1回の作動により特別電動役物が連続して作動する回数の合計
R:特別電動役物に係る最大入賞数の最大値
S:1個の遊技球が大入賞口に入賞した場合に獲得する遊技球の数の最大値

こちらが、規則に記載されている内容です。(う~ん、少し分かりずらいですね。)
プレーヤーが使用する用語で置き換えてみると、このようになります。

M:大当り確率(※1)
N:大当りした時の平均ラウンド数
R:1ラウンドあたりのアタッカーカウント数
S:アタッカーに入賞した時の払出し玉数

少し言葉が不足している表現となりますが、大枠はこのようになります。
(※1)大当り確率は確変機能を搭載している機種(ほとんどの機種ですね。)の場合は、「ML:低確率時の数値」と「MH:高確率時の数値」、さらに「P:連続して大当りが発生する回数」を使用して算出されます。

ですから一般的には、
・大当りし易い機種は大当り時の出玉を大きくし難く
・大当りし難い機種は大当り時の出玉を大きくし易い

ということが、お分かりいただけるかと思います。

MNRSを実際に計算してみよう

それでは、作動確率が簡単に算出できる「確変・時短の非搭載機種」を例に、MNRSを算出してみましょう。
とはいっても、ただスペック算出だけではつまらないので、「短時間で数千円で勝負できる機種」をコンセプトとして最適な出玉性能を意識して3案つくってみました。
また、確変・時短なしで電チューは非搭載機種ではありますが、MAX8を搭載することで大当り終了後に保留玉8個内での連チャンが期待できる仕様で、MNRSの数値などを算出してみます。

<案1:大当り時の獲得出玉重視>
M:0.005(1/200)
N:オール16ラウンド
R:10カウント
S:15個賞球
大当り1回の払出数:2400個(16R×10個×15個)
保留8個内の引き戻し期待値:3.93%で連チャン
MNRS=0.005×16×10×15=12 【基準内】

<案2:初当り回数と保留連率を重視>
M:0.006666・・・(1/150)
N:平均12ラウンド(16R:50%、8R:50%)
R:10カウント
S:15個賞球
大当り1回の払出数:2400個or1200個(16R×10個×15個or8R×10個×15個)
大当り1回の平均払出数:1800個
保留8個内の引き戻し期待値:5.21%で連チャン
MNRS=0.006666・・・×12×10×15=12 【基準内】

<案3:案1と案2の折衷案(バランス型)>
M:0.006134・・・(1/163)
N:平均13ラウンド(16R:50%、10R:50%)
R:10カウント
S:15個賞球
大当り1回の払出数:2400個or1500個(16R×10個×15個or10R×10個×15個)
大当り1回の平均払出数:1950個
保留8個内の引き戻し期待値:4.80%で連チャン
MNRS=0.006134・・・×13×10×15=11.963 【基準内】

いかがですか。遊技スタイルによって、好みが分かれるかとは思いますが、私個人的には「案1か案3」が気に入ってます。(大当り後、どのラウンドで当たっても即ヤメできる点で今回のコンセプトに合っているから。案2で8R当りを引いた場合は即ヤメできる自信がありません・・・。)

今回は、確変・時短がない機種で計算しました。実際には確変(ループタイプ・STタイプ・V-STタイプ等)機種が主流であり、今回の計算のように単純ではありませんが、「MNRS」の基本を学習していただければ対応は可能だと考えています。「何事も基本が大事!」ということで、今回の記事は終わりとさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。