パチンコ・パチスロの開発というとスペック設計・液晶演出に目を奪われがちですが、昨今の遊技機開発で重要視されているのが「役モノ(ギミック)設計」です。今や遊技機の顔としての存在感を発揮している機種も見受けられるようになっています。
今回は、役モノの企画や開発について書いていきます。

”役モノ”と”役物”の違い

パチンコ・パチスロにおいて「ヤクモノ」と呼ばれるものには、全く意味の違うものとなり得ますので注意が必要です。ここでは”役モノ”と”役物”の違いについて整理します。同じ読みですが、”モノ”と”物”で表記を変えてご紹介していきます。

<役モノ>

当記事で扱うものは、この「役モノ」です。パチンコ玉の動きに変化を加えるようなギミック等や液晶演出と連動して遊技者に視覚的に表現していくものを指します。
企画する力も必要ですし、そのアイデアを実現させる技術も要求されます。

<役物>

遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則に記述される「役物」とは、”入賞を容易にするための特別の装置”を指しています。例えば、パチンコの電動チューリップの場合ですと抽せんに当選することで入賞が容易になるため、法律上は「普通電動役物」と呼ばれます。パチンコの大当りやパチスロのビッグボーナス等も入賞が容易になる条件装置が作動している状態を示し、「役物連続作動装置」が正式な名称となります。

同じ「ヤクモノ」でも全く意味が異なりますね。今回は遊技者が目にするハード面での動きが伴う部品等の「役モノ(ギミック)」について、盤面上や枠といった筐体のいたるところに搭載される役モノについて書いていきます。

役モノ設計のトレンド

役モノ等を企画・開発している遊技機専門の部品メーカー様によると、役モノの企画設計はまず「決めの形」をどのようにするかからスタートすることが多く、最近のトレンドとして如何に大きく見せるかが重要なポイントになるそうです。遊技機メーカーに好まれる仕様は小さな物が大きくなるようなギミックを備えたものです。
これには大きな理由があります。最近の遊技機は液晶画面が大型化しており役モノを収納するスペースが限られています。つまり役モノを大きく見せるには小さな物を変形させて大きくするか、細かく分割して合体させるという手法を取るしかないという事です。
特にタイアップ機種などは版権元から分割ラインを細かく指摘される場合があるのでそれらを考慮した設計が必要になります。
ただ見栄えを重視してギミックが複雑になると部品点数が多くなり生産性が下がります。また不良品のリスクも高まります。如何に生産性が良く不良品を出さない設計にするかも開発者の腕の見せ所といえます。

役モノに関連する法令知識(規則)

遊技機開発では風適法の範囲内でしか開発できませんが、役モノに関しては特に明確な規則がありません。よって何を取り付けても基本的にOKです。
ただし、液晶外ランプ・セグなどのメイン表示を隠してしまう物は禁止です。それと盤面上の玉の動きを隠してしまうタイプに関しても「何%までならOK」という基準が設けられています。

役モノ開発に必要なスキルとは

役モノ開発に必要なスキルの第一は「パチンコ・パチスロが好き」であることです。実際に打っていなければ役モノの動き、テンポ、輝き等がイメージできません。遊技者を驚かせるようなギミックを開発するには自身が遊技者でなければわかりません。もちろん、その上であらゆるエンタテインメントを楽しめて、世の中の技術や発想に対しても無意識に目が行くような人であることも大事とされます。業界に身を置くものとしてそのような方に遊技機を開発して欲しいと切に願うものです。
役モノ会社に就職を目指す方の技術的なスキルは開発部署によって違いがありますが機構設計を目指すのであれば3DCADを使えると良いと思います。勉強するのにオートデスクさんからFusion360というフリーソフトがリリースされているので触ってみてはいかがでしょうか。

遊技機の演出も液晶の大型化、美麗化が進み映像で見せる演出は極限まで来ている感があります。斬新で新しい演出の見せ方は役モノが握っている可能性が高いじゃないかと思うわけです。今後の役モノ開発者に期待しようではありませんか。

パチンコメーカーが多い愛知県名古屋市周辺には、この役モノを企画開発している部品メーカーが多くあります。パチンコ発祥の地といわれる名古屋ならでは、パチンコメーカーの本社も多く、現在も遊技機のハード面の制作はこの名古屋で多く製造されています。
そのような状況から、G&E名古屋校ではハードの設計者を育成できるカリキュラムが充実しています。
G&E名古屋校
PS総合開発コース(2年制)https://www.g-e.jp/course/list/list01.html
PSプランニングコース(1年制)https://www.g-e.jp/course/list/list02.html