遊技機業界ではパチンコやパチスロで使用している漫画やアニメ、ゲームなど、著作権のあるコンテンツのことを版権(※)と呼ぶことが多いです。逆に版権を使わずに各メーカーが独自で考えたものをオリジナルと呼んでいます。
(※・・・一部メーカーでは「IP(intellectual propertyの略で知的財産を意味する)」と呼ぶところもあります。)
G&Eの生徒達からもアニメやゲームなど、版権を使用している遊技機が好きな者が多くいますし、同時に元々の原作ファンであることも珍しくありません。中には、実機を購入してなかなか見れない演出を家で楽しむようなヘビーユーザーも・・・。
それでは今回から、『その①-遊技機の版権のジャンル』・『その②-版権の取得方法』・『その③-版権取得から成果物の承認』の3回に分けて、遊技機の版権について書いていきます。
パチンコ、パチスロで使われた主な版権のジャンル
パチンコ、パチスロで使用する版権には漫画やアニメ、ゲームやドラマなどいくつものジャンルがあり、版権の取得方法も様々です。ここでは、これまで遊技機となった版権をジャンルごとに紹介していきます。
アニメ
現在のパチンコ・パチスロで一番多く使われているのが、このアニメ版権ではないでしょうか。
新たに制作されるアニメの場合はアニメの制作予算を確保するために制作委員会という組織を作り出資会社を募る場合があり、この制作委員会に出資することによって遊技機に関する使用権を獲得するケースもあります。有名なアニメは版元が主催するコンペによって契約する遊技機メーカーを決めることもあり、コンペに参加するメーカーは、その版権を使用した企画書や筐体イメージ、版権費用などを版元に提案します。
ゲームソフト
ゲーム会社と版権の契約を結ぶことにより、取得した版権のゲーム素材を利用したり、版元や版元の関係会社へ映像開発の制作を依頼することがあります。大手ゲームメーカーの場合は、自社の版権だけでなく遊技機の映像制作を事業としているケースが多くみられます。
特撮、ドラマ、時代劇
ほとんどの版権で過去に放映されていた実写映像を使用しますが、演出に登場させたい俳優の関係先と契約し、遊技機の演出用の新たな映像を撮影することもあります。
邦画、洋画
新作の邦画では新作アニメと同様に制作委員会に出資して遊技機の権利を取得する場合もあります。海外の映画ではハリウッドスターも出ている場合もあり、使用できる俳優が制限される場合があります。どうしても演出に登場させたい俳優がいる場合には版元経由で個別に権利交渉をしますが、権利を取得できない場合はその人物の代わりとなるキャラクターをアニメやCGで制作することもあります。
漫画(原作)
原作の漫画をもとに開発を進めていきます。その原作のアニメがあった場合には、漫画の版権とは別の扱いとなります。
漫画だけで映像化するのは、表現的に2D限定となるためキャラクターの様々なアングルの素材がありません。この場合は3Dでキャラクターを再現するためその工程で苦労することがあります。
歌手
使用したい歌手やグループの肖像権と楽曲の権利を取得します。
歌手の名前やグループ名などのロゴデザインについても権利がありますので、許可を得る必要があります。
遊技機の演出内容によっては新たな映像を撮影したり、オリジナルの楽曲を制作する場合もあります。
お笑いタレント
お笑いタレントが所属している芸能事務所と契約を結び、撮影協力、音声収録などの協力についても許可を得ます。
版権のジャンルはその他にもスポーツ選手やスポーツ団体、著名人、モデルなど多岐にわたり、著作権については楽曲や音声の権利などもあります。パチンコ・パチスロの小冊子(ミニパンフ)やコンビニに並ぶ雑誌にも版権機種の場合は、”©記号(マルシー)”に著作者の名称や年が記載されています。機種の制作についての著作者は遊技機メーカーですが、版権の著作はその権利を持っている個人や企業であるため必ず記載があると思いますので、小冊子や雑誌で実物を確認してみると面白いと思います。
また、昨今では声優さんの収録も別に行うことが多く(アニメやゲームの音声だけでなく、新たにセリフを取り直すことが多い)、メーカー開発者はボイス収録に立ち会います。このように知的財産として、版権のみならず楽曲(JASRACなど)あらゆる権利の集合体が遊技機といえます。
版権を使用することによってその版権に興味のある方に遊技を楽しんでもらったり、新たな遊技者獲得したり、逆に遊技をすることによってその版権に興味を持ってもらうなどにより、新たなファン層を獲得していくことが理想です。
次回は版権の取得方法についてお伝えしていきたいと思います。
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