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    Categories: パチスロ開発

パチスロにおける出玉試験

皆さん、こんにちは。

パチスロ開発において、「適合」や「検定通過」などの言葉は聞いたことがあるかもしれません。

まずは、これらについて簡単に説明したいと思います。

適合
これは、完成した機種を“保安通信協会”(通称:保通協)という検査機関において、
その機械が風適法や規則などに反していないか、を検査し、
合格すれば「適合」となります。

検定(検定通過)
こちらは、保通協においての試験で合格(適合)した機種を、
各都道府県の所轄に、その県に設置(販売)してもいいですか?
と申請するものです。
そして、問題なく受理されれば、「検定通過」とよばれ、市場に設置できます。

今回はここに挙げる「保通協」での試験のなかで、最も高いハードルである“出玉試験”の話をしたいと思います。

皆さんもある程度はご存知かもしれませんが、
出玉率には上限や下限が決められています。
具体的には

①短時間出玉率
②中時間出玉率
③長時間出玉率
④役物比率
⑤連続役物比率

の5つがあげられます。

それぞれどういう内容かといえば、
①短時間出玉率
任意の400Gの区間における出玉率が300%未満であること。

②中時間出玉率
任意の6000Gの区間における出玉率が150%未満であること。

③長時間出玉率
任意の17500Gの区間における出玉率が120%未満であること
(あとに記載する試射試験では55%を超えなければならない、という出玉率の下限もあります)

④役物比率
遊技機から払い出された遊技メダルの内、役物(SB、CB、MB、RB、BB(※1))の作動で獲得した出玉が70%以下であること。

⑤連続役物比率
遊技機から払い出された遊技メダルの内、連続役物(RBもしくはBB(※1))の作動で獲得した出玉が60%以下であること。

(※1)ボーナスについては過去の記事【パチスロのボーナス】を参照してください。

という内容です。
そして、試験方法は、
①シミュレーション試験
毎遊技で獲得できる最大の枚数を獲得する試験

②試射試験1
いわゆる遊技者が遊技する遊技方法と同じ遊技方法で遊技する試験

③試射試験2
出玉率が最低となる遊技方法で遊技

の3つが存在する……と思われます。
“と思われる”というのは、具体的な試験方法は我々開発者は分からないのです。

さて、ここで①のシミュレーション試験についてです。

毎遊技で獲得できる最大の枚数を獲得するのですが、
当然、小役はこぼしませんし、ボーナスも最速で揃える。
そんなことでは出玉率がものすごく高くなってしまう、はたして試験に適合するのか。
ということですが、実はこの「小役はこぼさない。ボーナスも最速で揃える。」
というものを逆手に取り、試験をかいくぐった機種もかなり多く登場しています。
その例をちょっと紹介しようと思います。

<ギャップMB>
皆さんは「魔法少女まどか☆マギカ(メーシー)」や「戦国乙女(オリンピア)」などの機種を遊技したことはありますか?
これらは、「MB」を搭載しており、1Gないし2Gで終了します。
このMB作動中は小Vベル、小山ベル、右上がりベル、右下がりベルが揃います。
そしてMB中は、あえて枚数が少ない枚数を1回取得してから、その後、枚数の多いほうを取得し終了します。
この2機種でいうと「MB」の終了条件は「13枚を超える払い出しで終了」となっており、
普通に遊技している場合は14枚をとって終了。
ART中などであれば、変則押しで13枚をとって、次ゲームで14枚をとる。という仕様です。
ですが、シミュレーション試験であれば“毎遊技、最大の枚数を取得する”ので、
最大でとれる14枚をとって、1Gで終了します。
13枚を取ってから14枚を取るほうが圧倒的に出玉率は上がりますが、
シミュレーション試験では、逆に出玉率が下がってしまうのです。

<0枚ボーナス>
通称“ゼロボ”と呼ばれるものです。
2枚掛け2枚払い出しのような純増枚数が0枚の遊技を数回行い終了するボーナスです。
主に純増が3.0枚クラスの高純増AT機に搭載されていますが、
基本的にこのボーナスは遊技者は遊技することはありません。
ですが、シミュレーション試験では、成立した瞬間にボーナスを揃えます。
ということは、遊技者が遊技する状態(リプレイ確率が高い状態)を遊技せず、
獲得枚数が0枚のボーナスが揃って、終わってまたボーナスを揃えて…
ということを繰り返すので出玉率は大きく伸びません。

<ベルこぼし(シングルボーナスこぼしなど)>
ベルやシングルボーナスなどを取りこぼしたときに出現する特定の出目でリプレイ確率を変える手法です。
今では多くの機種に搭載されている手法で、シミュレーション試験では必ず小役を取得する、
という仕様を逆手に取り、シミュレーション試験では必ずRTやARTに行かないようにしています。

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と、いうように本来足かせになりそうなものでも、あえて逆手に取ることで、
可能になったことやできたこと、というのも実は多くあります。

特にパチスロの場合は、抽せんや仕様も特に複雑なものも多く、いろいろな手法を用いて遊技性の幅を広げています。

いかがでしたか?
世に出ている機種もひも解いてみると、ものすごくいろいろ考えられているのです。

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パチンコパチスロメディア編集部 :